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2022年09月30日 留置所での不当な拘束は人権侵害 取調べの可視化

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福島県弁護士会によると、郡山警察署で2020年9月、窃盗事件で留置中の男性が、居室の壁を蹴ったことを理由に両手に手錠をかけられ両足を縄で巻かれるなどして、約16時間半に渡り拘束されたという。
県弁護士会は、拘束方法ではなく、拘束時間に違法性があり人権侵害にあたると判断し福島県警察本部に改善を求める勧告を申し立てたということだ。

県警察本部の留置管理課は「正式な文書が届いていないので、中身を見て内容に応じて適切に対応したい」とコメントしている。


<8/23(火) 19:09配信 福島テレビより>


警察での被疑者の取調べは、警察内の密室で行われます。

被疑者が金銭的に裕福な人や、社会的に力がある人、知識がある人なら弁護士を同席させるなどして不当な扱いを受けないための対策をとることができます。

しかし、そうではない人、そのような知識がない人は、密室で自分一人の力だけで対応しなければなりません。

取調べを担当する警察官に常識があり、被疑者の供述に理解を示してくれる人であれば、えん罪などが起こる可能性は低いでしょう。

しかし、社会的に重大な事件、話題性のある事件で、世間から犯人逮捕の無言の圧力を受けている場合など、早期の事件解決を迫られ、無理な捜査、不当な捜査が行われる可能性は考えられます。

犯人は誰でもよく、逮捕さえできればそれで良いという流れになってしまうことが最も恐れられます。

日本の有罪率99.9%

日本の刑事裁判における有罪率は99.9%と言われています。

この数字は、犯罪者にとっては脅威となり、犯罪の抑止力として働いているという考え方もできますが、起訴されたら無実の人でも有罪になってしまう、えん罪を生む可能性が非常に高いとも考えられます。

もし、自分にとって身に覚えのない犯罪で逮捕されたら、たとえ無罪であったとしても、ほぼ確実に有罪になってしまうということです。

これはとても恐ろしいことであり、ある意味で異常とも言える状態です。


取調室の可視化(録画)

万が一のえん罪事件発生を防ぐためにも、防犯カメラによる全ての取調室の可視化が求められます。

そして、防犯カメラに記録された映像データは、警察や検察、誰であっても改ざんできるシステムであってはいけません。

もし、映像データの欠如など不備がある場合は、何らかの不正が行われた可能性があると判断し、被疑者側に有利になるようにすべきと思います。(不当な捜査で得た証拠は排除するように)


可視化における問題点

  • 2016年の刑事訴訟法等の一部改正により、裁判員裁判対象事件・検察官独自捜査事件について、身体拘束下の被疑者取調べの全過程の録画が義務付けられ2019年6月に施行
  • しかし、録画義務付けの対象事件は全事件の3%未満
  • 逮捕されていない被疑者や参考人(被疑者以外の人)の取調べは録画義務付けの対象外    

<取調べの可視化(日本弁護士連合会ホームページより)>


容疑者、被疑者、被告人、犯人、いわゆる「加害者」側の権利だけを主張してるわけでもなく、彼らを優遇すべきと考えている訳ではありません。

正当な捜査活動が行われ、警察側に何の落ち度もないのであれば、可視化によってその内容が見られたとしても、違法性がないことを証明できるはずです。

その上で、犯人を逮捕し、有罪に導くべきと考えます。

「容疑者」「被疑者」「被告人」「犯人」の違いとは

ニュースや新聞で、「容疑者」「被疑者」「被告人」「犯人」といった単語をよく耳にしますが、私も意味の違いを正しく理解していませんでした。

  • 容疑者とは・・・犯罪の疑いをかけられている人物を指します。(法律用語ではなく、「被疑者」を言い換えたマスコミ用語)「被疑者」と意味合いは同じだが、法律上で定義された単語か否か、という違いがあるようです。
  • 被疑者とは・・・「容疑者」とほぼ同義ですが、正確には、捜査機関より犯罪の嫌疑(疑い)をかけられ、捜査の対象となっている者で、起訴されていない者を意味します。(法律用語)
  • 被告人とは・・・検察官より起訴された者を意味します。犯罪の嫌疑をかけられた「被疑者」が捜査を経て、起訴されることにより、「被告人」と呼ばれるようになる。なお、「被疑者」も「被告人」も、犯罪の嫌疑はかけられているものの、第三者である裁判所の審理を経て「有罪」とされた者ではない。
  • 犯人とは・・・「犯人」とは、犯罪を犯した人物そのものを意味します。「被疑者」「被告人」は、いずれも「犯人」である疑いをかけられている人ですが、有罪が確定するまでは、疑いにすぎないため、「犯人」と呼ぶのは不適切です。

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