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2019年04月19日 東京家裁で殺人事件 離婚調停中の夫が妻を刺殺

3月20日の午後、東京家庭裁判所の玄関で、離婚調停に訪れた妻が、夫に刺殺された(金属探知機ゲート前で待ち伏せか 容疑者の米国籍の夫 東京家裁・妻刺され死亡)。

痛ましい事件である。離婚などの家事事件は、「親密な感情」が行きかう場だ。愛情は時として殺意にまで至る。東京の家庭裁判所も、近年、入り口でのセキュリティチェックを導入した。「安全」のためなのだが、これがかえって危険である、という声があった。この事件を、「家庭裁判所の構造上、起こるべくして起こった」と思っている関係者も多い。

この日夫は、離婚調停に来る予定ではなく、弁護士が出席する予定だった。夫は、ガソリンや刃物3本をもって、このセキュリティチェックの前で妻を待っていた。つまり、セキュリティチェックを設置したことで、調停に現れるひとがいつどこを通るかが、特定されることになったのだ。

リンクの記事では、2017年6月の時点で東京家裁など4庁舎だけだった検査が、現在は13庁舎に拡大したと報じている。4月にはさらに5庁舎で導入される予定だそうだ。

このセキュリティチェックは、確かに裁判所の「内部」を安全にするかもしれない。しかし導入されることで、外部への接点が、今だかつてなく、危険になってきているのだ。

例えば来月に導入予定の横浜の家庭裁判所に詳しい弁護士は言う。

「横浜の家庭裁判所の図面では入口の3カ所ですが、実際には4か所あります。横浜は本館と別館2つあり、渡り廊下で結ばれている形です。本館に3つ、別館1つの入口があるのです。

これまでは、DV被害者が、加害者と出会わないように、使い分けて出入りして来ました。それをほかの入口を閉鎖して、本館1カ所にしてしまうと、導線が特定されてしまう。きわめて危険です。どの家庭裁判所も同じように、入口を1つにする予定なので、みんな危惧しています。

家庭裁判所は、「複数の入り口をもうけ、全てセキュリティチェックを行う」、「出口はさらに増やす」、などの対応をして欲しい。セキュリティを高めたことが、ぎゃくに事件を増やしてしまうとしたら、本末転倒と言わざるを得ない。
<千田有紀 | 武蔵大学社会学部教授(社会学)3/21(木) 19:34より>

入口でのセキュリティチェックを行うことで犯行対象のルートが限定される、そこを狙われたという意見があるようです。
確かにそのようにとれなくもないですが、相手を殺そうと計画する犯罪者にとっては、たまたま場所が裁判所であっただけで、ここが難しければ尾行してでも相手の住んでいる場所を見つけ、そして乗り込んで凶行に及ぶでしょう。

どのような対策をとっても相手がリスクを無視して犯行を行おうとする場合、その犯行を阻止することは限りなく難しいように思います。
24時間警護のボディーガードを雇うとか、要人なら警察による警護も可能でしょうが、一般市民が悪意を持った販売者から24時間身を守ることは不可能でしょう。

ガソリンや刃物の購入に関して、何か制限や条件を設けるというのも現実的ではありませんし、最悪の場合素手で殴り殺す、絞殺するなどの手口になると女性や子供、高齢者では対応しきれません。

裁判所での対策がどうこうというよりもっと根本的な対策や事前対応が必要ではないでしょうか。

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