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2007年12月25日 「フランダースの犬」が欧州で評価されない訳

クリスマスイブの日にアントワープの大聖堂でネロと犬のパトラッシュが死んでいくシーンは、アニメファンならずとも日本人の多くは知っていると思うのですが、以外にもこの「ファランダースの犬」が欧米では人気がないということが読売新聞に掲載されていました。

ベルギー北部フランドル(英名フランダース)地方在住のベルギー人映画監督が、クリスマスにちなんだ悲運の物語として日本で知られる「フランダースの犬」を“検証”するドキュメンタリー映画を作成しました。
物語の主人公ネロと忠犬パトラッシュが、クリスマスイブの夜に力尽きたアントワープの大聖堂で、27日に上映されます。映画のタイトルは「パトラッシュ」で、監督はディディエ・ボルカールトさん(36)。制作のきっかけは、大聖堂でルーベンスの絵を見上げ、涙を流す日本人の姿を見たことだったということです。

「フランダースの犬」の物語あらすじは?というと、フランダース地方の小さな村に住む少年ネロは祖父や老犬パトラッシュと共に暮らし、ルーベンスのような画家になることを夢見ていました。
しかし、祖父の死後、村の風車小屋が焼けた火事の「放火犯」との濡れ衣を着せられたことにより、彼の居場所は村から失われてしまいます。賞金が出る絵画コンクールの審査発表を待つネロでしたが、コンクールでは彼の絵は落選。
雪の降る中、住むところも希望も失ったネロは、アントワープへと向かい大聖堂に辿り着く。その頃村ではネロに対する誤解は解け、更に彼の才能を認めたコンクールの審査員がネロを引き取ろうと訪れていましたが全ては手遅れでした。大聖堂の中に飾られたルーベンスの絵の前でネロはパトラッシュと共に天に召されていきます、というものです。

原作は英国人作家ウィーダが1870年代に書きましたが、欧州では、物語は「負け犬の死」(ボルカールトさん)としか映らず、評価されることはありませんでした。米国では過去に5回映画化されていますが、いずれもハッピーエンドに書き換えられていました。

悲しい結末の原作が、欧米ではなぜ評価されないか?に関して下記のような説があるそうです。
・ベルギーで人気がないのは作者がイギリス人であり、また「自分たちはこの物語のように(子どもを一人で死なせるほど)非道ではない」との批判的な意見があるため。
・ストーリーが欧州の価値観からは「負け犬の死」としか映らないため。
・ネロの年齢が15歳で、「主人公が年齢相応の自立をしていないため」。
・ラストが悲劇で「救いがない」「可哀想だ」 と感じられるため。実際に米国では「ネロとパトラッシュは聖堂で死なない」「ネロの父親が名乗り出る」などの結末に変えられているようです。

なぜ日本人にこんなに受けるのか?というと、日本人の心に潜む「滅びの美学」だと「パトラッシュ」の監督であるディディエ・ボルカールトさん(36)は 界6か国での計100人を超えるインタビューから結論を出しています。
たしかに日本人には桜の散りっぷりを「潔い」と感じる人生観があります。忠臣蔵が毎年何らかの形で上映されているのも「滅びの美学」からでしょう。ただ、「フランダースの犬」の場合、TV番組の影響というのもあると思うのですが・・・。

ネロのこの物語を今回ブログでご紹介したのは、ネロが村を追われた理由が「放火の疑い」であったことを知ったからです。
本も読んだしTVも見ましたが、そういう記憶は残っていませんでした。「放火」に対してはどの国でも厳しく対応しているのでしょう。江戸時代の日本では死罪でした。まだ15歳ではなく、もう15歳と欧米では捉えているのではないか?と一連の記事などを読んで感じました。青少年による放火も増えているように感じられます。抑止力として放火犯に対して厳しい対応が必要でしょう。

反面、きちんとした証拠がないと犯人の特定はできません。そういたことにどんどん進化している防犯カメラの性能が応えています。現在は真っ暗闇の中でも鮮明な画像を録画させることができます。
見たいカメラの映像だけをピックアップして確認することもできます。
炎センサーと連動させると10m先の7センチの炎を検知した時より1分前からその現場の映像を見たい・・ということもできます。
もしネロの時代に防犯監視カメラがあったら濡れ衣をかけられることもなく、村で絵の勉強を続けられたかもしれません。

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