防犯ブログ

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2006年03月02日 スリの手口と対策

現在公開中の映画「オリバー・ツイスト」の中で、主人公の9歳の孤児オリバーは、それが悪いこととわからないまま「ゲーム」と称したスリの練習をさせられます。
19世紀のロンドンでは、貴族と庶民の貧富の差は大きく、貧しい孤児を集めてシルクのハンカチや財布をスリをさせ、集めるシーンが出てきます。
一人がハンカチをポケットから抜き取った次の瞬間には、別の仲間にそれを渡す様が描かれていました。

その道の権威によると、日本のスリは器用さにかけては世界一なのだそうです。
さて、その手口は・・・まず、「服装」ですが、当然“スリ”らしい格好をしているわけばなく、“一見紳士風”の服装をしています。

「小道具」としては、手提げ鞄・週刊誌もしくは新聞紙であり、これも普通のサラリーマンと全く変わらないのですが、ただしこの小道具は犯行を隠すためのものです。

犯行開始。ターゲットを決めそっと寄って行き、そして人ごみや電車の振動を利用して、まずポンポンとアタってみます。アタってみて反応があれば、次はボタンを外しにかかります。
吊皮にぶら下がっていて財布が背広の内ポケットに入っていたら、いくらスリが機敏でも手をのばすところを前の座席の人に見られるだろうというのは、安心の根拠となりません。

死角がなければスリは死角を作るのです。新聞や週刊誌を読むふりをしながらグッと乗り出だして、目的の場所を隠してしまい、その新聞や週刊誌の影でサッと一瞬、やってしまうのです。
これをその道で、“マクを張る”と呼んでいるそうです。
ビクビク用心して目をよく開いて注意すると、今度はスリは手を変えます。

陽動作戦に出るのです。足元へ小銭をチャリンと落としたり、ハンカチを落としたり、コチョコチョと新聞や週刊誌の端で首や頬を小当りに当ってきたりする。そこでついこちらの目がそちらへ動くと、その瞬間、パッとやるのです。(この手口は海外でも多く、その他ケチャップやアイスクリームを付けたりして、別の人間が話しかけて・・・という手口もあります。)

酔いくたびれて深夜の電車に乗ると、そこにもまたスリがいます。
酔ったカモのことを、スリは“死んだ太郎”と呼んでいます。
これを狙うのはよくよく下手な悪手とされています。ふつう酔いくたびれると人は顎をのけぞらし、後頭部を窓にもたせて寝たがる癖をもっています。
そこをスリは狙うのです。彼は電車に揺れたふりをして、いきなりこちらの足を払うのである。するとガクンと前へつんのめり、つんのめったはずみに、背広の前がひらいて、内ポケットがのぞく、その瞬間、サッと一瞬・・・。

スリは知能犯で技術犯ですが、ほとんど例外なく常習犯であって、“悪”の意識は、ほかのどの犯罪者よりも少ないものであるそうです。

スリに狙われないために
●財布をズボンのポケットに絶対に入れない。
●財布を背広に入れる場合も、必ずポケットはボタンなどを付ける。二重ポケットにする。
●満員電車などでは、立位置に注意する。
●ハンドバック・鞄の中に直に財布は入れず、ファスナー付きの袋に入れ、自分の体の前側、目が良くつくところにバックを置く。中に簡単に手が入るタイプのトートバックやハンドバックは防犯上おすすめしない。
●夜の帰宅時に列車の中で寝ない。
●列車の中が空いているのにわざわざ隣りに座ったり、前に立つ人には注意する。
●携帯電話中、ウィンドウショッピング中、友達と話しながら歩いている時、列車の中で寝ている時・本を読んでいる時などが狙われやすい。

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