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『割れ窓理論』米で治安回復に成果 地域防犯の“核”寺社に期待
一九九〇年代のニューヨーク市で、一つの犯罪予防理論が治安回復に目覚しい成果をあげた。 一枚の割れた窓ガラスを放置すれば、やがて街全体が荒れて犯罪が増加する、と唱える「割れ窓理論」(Broken Window Theory)。この犯罪予防理論は、重大な凶悪犯罪を未然に防ぐため、軽犯罪の取り締まりを強化することが主眼だ。近年、日本でも治安の悪化を受け、割れ窓理論に注目と期待が集まっている。
割れ窓理論を提唱したルドガーズ大学(米ニュージャージー州)のジョージ・ケリング博士によると、治安の悪化は次のような経過をたどる。
同理論を実践したニューヨーク市では、具体的に、地下鉄の落書きや無賃乗車などの取り締まりを徹底的に強化。同時に、警察官による地域の徒歩パトロールを徹底した。 こうした取り組みに対しては、凶悪犯罪の摘発を重視する現場の警察官から反発もあがったという。しかし、同理論の実践によって殺人などの凶悪な犯罪は大幅に減少、治安の回復は市民が体感できるほど着実に進んでいった。
具体的な事例として成果をあげている割れ窓理論だが、市民レベルでも同様の取り組みで治安を維持することは可能だ。 まず不可欠なのは、地域コミュニティーの形成。近隣住民との挨拶を欠かさないといったことから始め、落書きやゴミなどの問題には、地域として一体となった取り組みが求められる。 こうした地道な活動は、犯罪の起こりにくい街づくりにつながる。住民が一丸となって犯罪防止に取り組む地域に、犯罪者は決して近づくことができないからだ。 また、地域コミュニティーの形成においては、寺社に期待される役割も見落とせない。宗教者には、地域社会の核として防犯にあたることも必要で、そのことが寺社自身を犯罪から守ることにもつながるはずである。
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